淡路島の恵みを
昇華させた
郷土イタリアン。
穏やかな海風、紺碧の海…。晴れた日に淡路島の海沿いをドライブすると、イタリア沿岸の風景を重ねてしまうことも少なくはない。現地を旅するような感覚は、イタリア料理を生業にするシェフが創り出す、皿の中にもみて取れる。「主となる食材はほとんどを淡路島でまかなうことができる」と話す料理人も少なくはないのだ。
瀬戸内海に浮かぶ淡路島は、年間の平均気温が15度という温暖な気候に恵まれ、「農業王国」としても名を馳せる。農家さんの努力の甲斐もあり、今では珍しい西洋野菜やハーブも容易く入手可能に。さらには牛肉、牛乳、鯛や鱧などブランド食材も多く、農業・畜産や水産物にも恵まれた島なのだ。「かつて過ごした、イタリアの田舎のような理想郷がこの島にありました」と、移住を決めた料理人の姿も。さらに2022年には島内にワイナリーが誕生というホットな話題も。
地元食材を慈しむ郷土料理がイタリア各地にあるように、淡路島でイタリア料理店を営むシェフには、地元を大切にするスピリットが宿る。そして地物を供するだけでなく、島の風土を生かしたシェフ自身の料理に昇華させていた。